hairline、それは「毛一本分」の…

現在「欧文書体部位名称」を拙Wikiにて調査中であるが、先日カリグラフィーの師匠と『hairline』についての話になり、同じく「文字の筆画で細い線」であっても、カリグラフィーでの意味と印刷書体*1での意味とが似ているようで微妙にニュアンスが異なることに気付いて調べ直してみた結果をここで報告してみる。
なお、まとめたものは拙Wikiの「hairline」に掲載。

印刷書体での意味

一般的な意味としてまとめると、

The thinnest part (or stroke) of a letter (or typeface) other than the serif.
(セリフを除く、1つの文字(または書体)の中で一番細い部分(または筆画)。)

であり、相対的なニュアンスを持っていて、同一文字でも書体によって該当する筆画が異なる場合がある。
下図の赤い部分が該当部分(または筆画)である。



(Typeface: Adobe Garamond Pro Regular)

カリグラフィーでの意味

Especially in alphabets which have a thick-thin variation of line, the thin lines are called hairlines.
Folsom, Rose. The Calligraphers' Dictionary. Thames & Hudson Ltd, 1990, 144p. (p.59)

A fine line used to link letters, terminate strokes, fill large counters, and decorate letters.
Harris, David. The Art Of Calligraphy. Dorling Kindersley Publishing, 2005, 128p. (p.122)

文字を繋げたり筆画の終端に出たり文字を装飾する時などに用いられる(もしくは現れる)単純に細い線で、文字通り髪の毛くらいに細く書く。
下図の矢印が指す箇所が該当部分(または筆画)である。



Script: Bastard Capitalの「A」
Picture Credit: English Genesis, MS Bodley 596 f2r/BO
Source: Harris, David. The Art Of Calligraphy. Dorling Kindersley Publishing, 2005, 128p. (p.67)


このような感じだが、如何せんカリグラフィーでの用法が少ないので、もう少し増やしていきたい。

*1:この場合、活字書体・写植用書体・デジタル書体を総合した呼称。またデジタル書体にはwebfontなどを含む。