『聞』にある『耳』は出るか出ないか?−その4

唐突だが、ふと気付いたので。


結局のところ、進研ゼミ『家庭教育『?』解決-進研ゼミ小学講座』の『●漢字の字形、どれが正しい?』で、『聞』の『耳』の第5画は出ないよう説明しているが、この時の説明文が「つき出しません」と断定調であるのが問題だったのではないかと。
また元記事の筆者のご子息の答案でも赤ペン先生が「出ないよ」と断定している。
上記サイトでも『字形にはある程度「許容範囲」があり』と言明しているにも関わらず、である。


ここは、『出来る限りつき出さないように云々』などと、「許容範囲」があることを暗に認めつつ、『小学校学習指導要領―平成10年12月 付学校教育法施行規則(抄)』にもあるように、『「学年別漢字配当表」の字体を“標準”とし』つつ、『しかし、この「標準」とは、字体に対する一つの手がかりを示すものであり、これ以外を誤りとするものではない』ことにも準拠するような説明にしたら、元記事の筆者もそんなに右往左往せず済んだのではないか、そしてかく云う筆者もここまで引きずることもなかったのだが(苦笑)。


ということで、これで本当に教育における漢字指導の問題については終わりにする。


次回からは、前回の最後にも書いた通り、漢字のかたちの問題として捉えていこうと考えている。


2007.10.14追記
昭和を騒がせた漢字たち―当用漢字の事件簿 (歴史文化ライブラリー 241)の一読をお勧めする。特に『「よい子の像」碑文裁判』の項には漢字の「標準」を巡る過去の例が挙げられており、考えさせられるものがある。