今週読了

神経文字学―読み書きの神経科学

神経文字学―読み書きの神経科学

やはり手強わかった。

基本的には、脳神経学における失語症・失書症・失読症に関して論じている。脳神経学においては全くの素人なのでかなり読むのに苦労して、結局、文字好きが好みそうな箇所を所々かいつまんだだけである。かいつまんだ箇所を挙げると、「序論」「第1章 漢字仮名問題の歴史的展開」「第2章 日本語の読み書きと漢字仮名問題」「第5章 記号としての文字形態」のみである。
まず気になったのは、「序論」で挙げられた『形態素文字』という言葉。これは『表語文字』の一つの分類名で、これに漢字が当てはまるということ。これまでの見聞では漢字は『表意文字』、もしくは『表語文字』と言われており、この語は今回初めて知ったのだが、どこまで妥当なのか検討してみる余地がある。あと、言語学ないし文字学の立場からみて要検討の箇所があるのが気になる。
一つ考えを改めねばならないのは、表音文字は左脳で、漢字は右脳で処理される、というのはその時々の条件によって処理する領野が変わるらしいので、一概に言えないということ、らしい。

まあ、もう少し寝かせてからまた読もう、か。


国語審議会─迷走の60年 (講談社現代新書)

国語審議会─迷走の60年 (講談社現代新書)

国語審議会の歩みを概観することができ、参考文献も多く挙げられていて資料として非常に助かるのだが、どうにも筆者の揚げ足取り的な言説が非常に気になる。確かに国語審議会の理念ないしヴィジョンが現在に近づくにつれ『倫理』的で『説教臭』い感は否めないしそれに賛同もするが、どうも筆者は、『権力』に相当な嫌悪感を抱いているように思われ、例えそうでないとしても、『権力者』に対しては無条件で攻撃してしまう、というように感じてしまうのが残念。