不親切な用語解説--「font」その9

これまでの、ひとまずのまとめ。

金属活字としての『Font』
同一のスタイル・太さ・幅・サイズのアルファベット(大文字・小文字のローマン体、スモールキャップ)、合字、数字、その他記号類(符号、アクセント、参照記号、通貨記号など)のセット。

写植・DTPにおける『Font』
同一デザイン・太さ・幅のアルファベット(大文字・小文字)、合字、数字、その他記号類(符号、アクセント、参照記号、通貨記号など)のセット。
ひとつの字母を自由に拡大・縮小できるため、金属活字時代のようにサイズごとで別Fontにならない。


まだ詰め切れていない感が否めない。引き続き考察していく。


■欧文活字書体の一揃え(Font, Fount)の基本構成*1

使用書体:Minion Pro Regular / Minion Pro Italic


『欧文活字書体の一揃え(Font, Fount)の基本構成』表中の各タイプの名称について、日本語を明記していないので、下記に示す。

Capitals, Upper Case, Majuscules
大文字(Capital Lettersとも)
Lower Case, Minuscules
小文字(Small Letters、Minisculesとも)
Small Capitals
小文字xに高さを合わせた大文字(Small Capsとも)
Ligatures
合字
Accent Marks, Diactrical Marks
アクセント記号(符号)(Accentsとも)
Swash Letters
ひげ飾り*2
Swash Capitals
ひげ飾りの大文字、装飾大文字(イタリック体のみに在る)
Symbols and Punctuation Marks
各種符号、約物、通貨記号(Monetary Marks [signs]、Currency Marks [signs])など
Lining Figures
同一高さで、同一基線で揃っている数字(Lining Numbersとも)
Text Figures, Old Style Figures
あるものは基線の下に出ている部分があり、あるものは他のものより上に出ている部分がある数字(Nonlining Figuresとも)
Fractions
分数(Case Fractionsとも)
Printer’s Ornament
花形装飾活字

これらの詳しい調査は、また別の機会に。

*1:欧文書体百花事典を参考に、調べたものを含めて記載。また、項目に『Swash Letters (?)』とあるが、この名称が正しいか今のところ調査中。このような名称について調べてみるのも興味深い。

*2:エキスパート、エンドマークと書いている文献もあり(欧文書体百花事典)。現在、『Swash Letters』自身も含めて、これら名称が正しいか調査中。