《印刷関連分野における定義》ー字体の諸定義についてーその4
目次
- 分野別でみた字体の定義
- 各種辞書における定義
- 学術的分野における定義
- 書道における定義
- 政策的分野における定義
- 国語行政における定義
- 工業規格における定義
- 印刷関連分野における定義
- webで見られる定義
- 「字体」という語の歴史的経緯
- 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について
印刷関連分野における定義
- 点画の組み合わせによって、ある文字がその文字であることを識別することのできる文字の骨格をいう。「国」と「國」は字体が違う例である。字体は抽象的な概念であり具体的には字形として実現される。
『プリンタカタログ用語集 4.フォント 4.2書体 解説』社団法人 電子情報技術産業協会 情報システム部 2004/04(PDF)
- これは抽象的な概念です。「ある文字が、その文字である」と認められる骨組みをいいますからとても抽象的ですね。
『デザイン、DTPのためのフォントの鉄則―Mac OS 9/X両対応』 オブスキュアインク編 毎日コミュニケーションズ 2003 p.6
- 文字の骨格をなす点画の組み合わせをいう。
『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』 鈴木一誌 青土社 2002 p.46 ※伊藤英俊『漢字文化とコンピュータ (中公PC新書)』中公PC新書 1996 の孫引き
- 概念としての具体的なかたちをもたない抽象的な文字を、一般的には「字体」と呼んでいる。
『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』 鈴木一誌 青土社 2002 p.65
『DTPフォント完全理解! (DTP world books)』 和田義浩 松田俊輔ほか共著 WORKS CORPORATION 2002 p.28
- 文字の骨格であり抽象的な概念で、(以下略)。
『DTPフォント入門 Macintosh編―日本語フォントの疑問と盲点をすべて解決』 藤岡康隆、和田義浩ほか共著 MdN 1999 p.22
- 字形の基礎になる文字概念で、それぞれの文字を識別する点画の組み合わせのこと。
『Macで文字デザイン―コンピュータ時代の文字づくり』 成澤正信著 グラフィック社 1999 p.015
- 文字のカタチですが、デザイン的な特徴を持たない抽象的、概念的な文字のカタチをいいます。
『フォントのことがわかる本―文字システムから出力・印刷までの実践知識』 近藤龍太郎著 日本実業出版社 1996 p.11
『フォントの常識事典―文字システムから出力・印刷まで』 近藤龍太郎著 日本実業出版社 1999 p.10
以上から共通項として、「字体」の定義に関して重要な語彙が見いだされるのは前々回、前回にほぼ等しく、「字体」とは『抽象的な概念/観念』である、ということと、以下の3つのグループへの分類である。
- 骨組み・骨格
- 弁別指標
- 点画の組み合わせ
- 社会共通の基準
は見出されない。