『君は歩いて行くらん―中川幸夫狂伝』

君は歩いて行くらん―中川幸夫狂伝 (「美」の人物伝)

ただただオモロかった。
ノンフィクションに少々のフィンクションのスパイス。
スゴい人の周りには、スゴい人が関わっている。
中川の生前の事象である幕末、天保の改革の推進者水野忠邦の先兵、鳥居耀蔵と中川の祖父から始まって、
日露戦争、乃木希典、第一次大戦、大正天皇、15年戦争、丸亀の連隊、善通寺の師団、ガラス器、漆器、漆、俳句、華道、重森三玲、勅使河原蒼風、土門拳、瀧口修造、半田唄子、そして著者自身、
これらを巧みに横断し時に脱線しつつ巧みに絡まりながら中川幸夫氏の濃い〜人生にこれまた濃い〜影響を及ぼす様があっけらかんと軽やかで愉快。
これを読むと彼が既存の華道に叛旗を翻して（池坊を脱退したこと）己の花に邁進していった理由がよ〜く分かる。

中川氏はもうご高齢なので新作は無理だけど、また展覧会してくれないかな。
作品集は以下に。

魔の山―A flower is mystic mountain

花人 中川幸夫の写真・ガラス・書―いのちのかたち

中川幸夫の花