《各種辞書における定義》ー字体の諸定義についてーその1

これから何回かに分けて、「字体」の定義をみていく予定。
見通しを列記すると、

  1. 分野別でみた字体の定義
    1. 各種辞書における定義
    2. 学術的分野における定義
    3. 書道における定義
    4. 政策的分野における定義
      1. 国語行政における定義
      2. 工業規格における定義
    5. 印刷関連分野における定義
    6. webで見られる定義
  2. 「字体」という語の歴史的経緯
  3. 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について

…と続けていくつもりだが、途中変更の可能性もあることを予めご了承願いたい。


今回はまず、各種辞書における「字体」の定義をみていく。

各種辞書における定義

  1. 文字の形。
  2. 文字の書き方。活字などの書体。

角川新国語辞典山田俊雄/吉川泰雄 編 角川書店 1981/01/20 初版 1985/12/10 58刷

  1. 文字の形。
  2. 書体。楷書・行書・草書などの総称。

角川 新字源小川環樹/西田太一郎/赤�忠 編 角川書店 1968/01/05 初版 1986/01/20 245版

  1. 文字の形。▷特に時代によって変化した形体などについていう。
  2. 古文・籀文・小篆・隷書・楷書・行書・草書などのこと。
  3. 書道で流派のちがいによる字の書き方。

類:書体。
漢字源』【編者】藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 学習研究社 1988年11月10日(初版発行)/2007年1月10日(改訂第四版初刷発行)

『漢字源』の引用の最後にある「類:書体。」の「類」は、この辞書では「同義の漢字・熟語」を意味する。

  1. 字のかきかた。楷・行・草などの稱。 韓愈「字體不類隷與科。」
  2. 字畫の意。

大字典』【編纂者】上田万年、岡田正之、飯島忠夫、栄田猛猪、飯田伝一 講談社 大正6年(初版発行)/昭和40年9月15日(普及版:第1刷発行)/昭和57年10月10日(第21刷発行)


以上を踏まえると、「字体」「字形」「書体」の関係は

  1. 「字体」≒「字形」
  2. 「字体」≒「書体」

であるということになる。