Emigre No. 70
「Emigre No. 70」で、あれっと思った方は鋭い。
Emigre magazineはNo. 69でもって終了しているのだから。
では「Emigre No. 70」とは?
Emigre No. 70 ― The Look Back Issue / Celebrating 25 Years in Graphic Design / Selections from Emigre magazine #1 - #69
ということです。
発売は2009年10月予定で、Amazonでも絶賛予約受付中。
Emigre No 70: The Look Back Celebrating 25 Years in Graphic Design Selections from Emigre Magazine
- 作者: Rudy Vanderlans
- 出版社/メーカー: Gingko Pr Inc
- 発売日: 2009/12/04
- メディア: ハードカバー
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《webで見られる定義》ー字体の諸定義についてーその5
目次
- 分野別でみた字体の定義
- 各種辞書における定義
- 学術的分野における定義
- 書道における定義
- 政策的分野における定義
- 国語行政における定義
- 工業規格における定義
- 印刷関連分野における定義
- webで見られる定義
- 「字体」という語の歴史的経緯
- 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について
webで見られる定義
- その字がそのとうりに読める文字の骨組み。
『千都フォント|用語解説・タイポグラフィの世界 書体編』小宮山博史 著 大日本スクリーン製造 2005
『四角のなかに押し込めること 築地活版の仮名書体』小宮山博史 著 大日本スクリーン製造 2005 PDF版 p.21 註15(PDF)
- 集団が決めたある共通の特徴をもつた字の集り。
「漢字にかかはる用語の定義について (二)字体」谷田貝常夫 『文字鏡研究会会報 第四号』文字鏡研究会 2001/08
- 難しくいえば個々の文字を識別する、要素としての点画の組み合わせ方をいう。簡単にいえば、例えば指で空中に文字を書いたような、抽象的なもののことだ。
『「プロジェクトFONT1000」〈基礎講座〉[第1回]字体と字形の違い』 味岡伸太郎 著 MdN 2001
『DTP玉手箱 文字の特性とフォント--フォントデザインの実際(1)』澤田善彦 著 print-better website(社団法人日本印刷技術協会 運営) 2000/01/24
- ある書体のなかで異なる字形を持つグループをその書体の中での字体とする。
『今昔文字鏡 文字分類 字体・字形・書体・意匠体の定義』Ver1.0 エーアイネット 1997
- 「ちゃんとした字を書け」と言われた際に思い浮かべ、書きつけようとする文字の姿ーあるいは意図する文字であることを他の文字と誤認されないように示すにはどのように点画を配置すべきかという設計図のようなものーのこと。(略)字体は「あそび」を許容する概念です。
『公有フォントを作る ■文字の字体と字形』 内田明 著 Linux Japan 2002年2月号 p.38(PDF)
- あくまで文字表記のための規範であって、文字そのものではない。
- 多箇所での定義:集団の約束による、字の全体的形式。
- 一定の種類に属しているという普遍的な面
- 「一定の種類に属しているという普遍的な面」というのが、直接に目で見、手で触れることのできるような実体的な存在ではないということである。それは観念的な存在であり、文字を表記するうえでの社会的な約束事=規範にほかならない。したがって<字体>とは、それ自体が単独に目に見えるような形で存在することはできず、「感性的なかたち」との統一によって、初めて具体的な存在となるものである。図式的にいえば<字体>(規範)+<様式>(感性的なかたち)=文字(書体)ということになろう。
『文字認識の方法』佐藤章 著
以上から共通項として、「字体」の定義に関して以下の重要な語彙が見いだされる。
「字体」とは『抽象的な概念/観念』である、ということと、以下の4つのグループへの分類である。
- 骨組み・骨格
- 弁別指標
- 点画の組み合わせ
- 社会共通の基準
しかし、以上の「重要な語彙」の内の『社会共通の基準』に類似するが、それに収まりきれないと感じているものがある。それが、今回最後に引用した
- あくまで文字表記のための規範であって、文字そのものではない。
である。
ここから自分の「字体」についての考えが敷衍されていくことになり、それについて概略的なものを先に記したのである。
《印刷関連分野における定義》ー字体の諸定義についてーその4
目次
- 分野別でみた字体の定義
- 各種辞書における定義
- 学術的分野における定義
- 書道における定義
- 政策的分野における定義
- 国語行政における定義
- 工業規格における定義
- 印刷関連分野における定義
- webで見られる定義
- 「字体」という語の歴史的経緯
- 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について
印刷関連分野における定義
- 点画の組み合わせによって、ある文字がその文字であることを識別することのできる文字の骨格をいう。「国」と「國」は字体が違う例である。字体は抽象的な概念であり具体的には字形として実現される。
『プリンタカタログ用語集 4.フォント 4.2書体 解説』社団法人 電子情報技術産業協会 情報システム部 2004/04(PDF)
- これは抽象的な概念です。「ある文字が、その文字である」と認められる骨組みをいいますからとても抽象的ですね。
『デザイン、DTPのためのフォントの鉄則―Mac OS 9/X両対応』 オブスキュアインク編 毎日コミュニケーションズ 2003 p.6
- 文字の骨格をなす点画の組み合わせをいう。
『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』 鈴木一誌 青土社 2002 p.46 ※伊藤英俊『漢字文化とコンピュータ (中公PC新書)』中公PC新書 1996 の孫引き
- 概念としての具体的なかたちをもたない抽象的な文字を、一般的には「字体」と呼んでいる。
『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』 鈴木一誌 青土社 2002 p.65
『DTPフォント完全理解! (DTP world books)』 和田義浩 松田俊輔ほか共著 WORKS CORPORATION 2002 p.28
- 文字の骨格であり抽象的な概念で、(以下略)。
『DTPフォント入門 Macintosh編―日本語フォントの疑問と盲点をすべて解決』 藤岡康隆、和田義浩ほか共著 MdN 1999 p.22
- 字形の基礎になる文字概念で、それぞれの文字を識別する点画の組み合わせのこと。
『Macで文字デザイン―コンピュータ時代の文字づくり』 成澤正信著 グラフィック社 1999 p.015
- 文字のカタチですが、デザイン的な特徴を持たない抽象的、概念的な文字のカタチをいいます。
『フォントのことがわかる本―文字システムから出力・印刷までの実践知識』 近藤龍太郎著 日本実業出版社 1996 p.11
『フォントの常識事典―文字システムから出力・印刷まで』 近藤龍太郎著 日本実業出版社 1999 p.10
以上から共通項として、「字体」の定義に関して重要な語彙が見いだされるのは前々回、前回にほぼ等しく、「字体」とは『抽象的な概念/観念』である、ということと、以下の3つのグループへの分類である。
- 骨組み・骨格
- 弁別指標
- 点画の組み合わせ
- 社会共通の基準
は見出されない。
《政策的分野における定義》ー字体の諸定義についてーその3
目次
- 分野別でみた字体の定義
- 各種辞書における定義
- 学術的分野における定義
- 書道における定義
- 政策的分野における定義
- 国語行政における定義
- 工業規格における定義
- 印刷関連分野における定義
- webで見られる定義
- 「字体」という語の歴史的経緯
- 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について
順序としては今回は『3.書道における定義』となるのだが、まだ資料不足で調べ切れていないので次に行く。
政策的分野における定義
国語行政における定義
- 筆画の組合せから成る,1字としてのまとまった形
『活字字体整理に関する協議会第1回総会 5.懇談(1)術語について』国語審議会 文化庁 1947/07/23
- まず「字体」については,活字字体の整理に関する協議会ではこれに「点画の組合せからなる1字1字の形である」という定義をあたえてこれを書体と区別しておりますが,これはだいたいうけいれてよい考え方であると思われますが,あるいはまた点画の組合せの定型化されたものともいえましょう。 歴史的に漢字の変遷・発達をたどってみると,なお別個の見解もでてまいりますが,漢字を現段階のものについて考えるときには,字体を点画の組合せに即したものとみることが,合理的であります。
『第14回国語審議会総会における安藤主査委員長の報告―字体整理案について―』「第14回国語審議会総会 3.字体整理に関する主査委員会の審議経過報告ならびに原案の説明」 国語審議会 文化庁 1948/06/01
- 文字の骨組み
『常用漢字表 表の見方及び使い方 四』昭和56年内閣告示第一号 1981/10/01
- 字体については、常用漢字表に示されている「字体は文字の骨組みである」という考え方を踏襲する。文字の骨組みとは、ある文字をある文字たらしめている点画の抽象的な構成の在り方のことで、他の文字との弁別にかかわるものである。 字体は抽象的な概念であるから、これを可視的に示そうとすれば、一定のスタイルを持つ具体的な文字として出現させる必要がある。
『表外漢字字体表 一.前 文 3 字体・書体・字形にかかわる問題とその基本的な考え方(1)字体・書体・字形について』国語審議会 文化庁 2000/12/08 答申
以上は、国語施策情報システムにて閲覧可能。
工業規格における定義
- 図形文字の図形表現としての形状についての抽象的概念。
『JISX0208 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合 4. 定義 i )字体(ZITAI)』日本工業規格 制定年月日:1978/01/01 最新改正年月日:1997/01/20 最新確認年月日:2002/07/20
『JISX0213 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合 4. 定義 i )字体(ZITAI)』日本工業規格 制定年月日:2000/01/20 最新改正年月日:2004/02/20
- 概念を点画などの要素を組み合わせて文字化するという処理を経て出現した文字の骨格表現。
『JISX0212 情報交換用漢字符号−補助漢字 2. 用語の定義 (6)字体』日本工業規格 制定年月日:1990/10/01 最新確認年月日:2002/07/20
- 一群の字に対して統一的に定められた字形(個々の字の形状)の一組。
『JISX9001 光学式文字認識のための字形(英数字) 2. 用語の意味 (3)字体』日本工業規格 制定年月日:1970/06/01 最新改正年月日:1976/11/01 最新確認年月日:2004/11/20
『JISX9003 光学式文字認識のための字形(片仮名) 2. 用語の意味 (3)字体』日本工業規格 制定年月日:1973/08/01 最新改正年月日:1980/02/01 最新確認年月日:2004/11/20
- 一群の片仮名に対し規範として定められた字形の一組。
『JISX9005 光学式文字認識のための手書き文字(片仮名) 2. 用語の意味 (3)字体』日本工業規格 制定年月日:1979/11/01 最新改正年月日: 最新確認年月日:2004/11/20
- 一群の数字に対し、規範として定められた字形の一組。
『JISX9006 光学式文字認識のための手書き文字(数字) 2. 用語の意味 (3)字体』日本工業規格 制定年月日:1979/11/01 最新改正年月日: 最新確認年月日:2004/11/20
- 一群の英字に対し規範として定められた字形の一組。
『JISX9007 光学式文字認識のための手書き文字(英字) 2. 用語の意味 (3)字体』日本工業規格 制定年月日:1981/07/01 最新改正年月日: 最新確認年月日:2002/07/20
- 一群の記号に対し規範として定められた字形(個々の記号)の一組。
『JISX9008 光学式文字認識のための手書き文字(記号) 2. 用語の意味 (4)字体』日本工業規格 制定年月日:1981/07/01 最新改正年月日: 最新確認年月日:2002/07/20
- 表現された字形の基礎にある文字概念で、個々の文字を識別する要素としての点画、筆角の組合せ方をいう。すなわち、字体は抽象的なものであり、具体的には字形として表現する。
『JISX9009 光学式文字認識のための手書き文字(平仮名) 2. 用語の意味 (3)字体』日本工業規格 制定年月日:1985/07/01 最新改正年月日:1991/08/01 最新確認年月日:2002/07/20
- 一つの漢字として認識される点画の抽象的な構成の在り方で、視覚的認識のために他の文字と明確に区別できる特徴を備えている。
- 参考:漢字符号の幾つかの規格では字体を抽象的な概念と位置付け、その具体的な形として実現されたものを字形と定義している。JIS X 0208及びJIS X 0213では包摂基準を設け、その基準の範囲内においては複数の字体を区別せずに、それらに同一の区点位置を与えている。“常用漢字表”及び“表外漢字字体表”では、各々においてデザインの違いであって字体の違いはないと考えられる字形差が例示されている。また、義及び音が同じ漢字でありながら、標準的な字体と異なる字体のものを異体字という。
『JISZ8125 印刷用語−デジタル印刷 5. 用語及び定義 00.基本(一般) 00.01.01 字体』日本工業規格 制定年月日:2004/02/20
- 漢字の骨格であって,視覚的認識のために他と明確に区別できる特徴を備えている。
- 参考:漢字符号の幾つかの規格では字体を抽象的な概念と位置付け,その具体的な形として実現されたものを字形と定義している。字体差の大小によって,差の少ないものは同値とみなし,差の大きいものを独立としている。 文字の可視化表現から大きさ及び意匠デザインを正規化した抽象化表現を字体ということもある。(解説4.3参照)
- 文字の抽象的な形 (骨格) の概念で、文字の骨組みなどともいわれ、具体的に視覚化することは不可能である。(ISO/IEC TR15285、国語審議会資料などから。)本委員会では、漢字部首も符号化文字に含まれる、という立場から、部首にも“字体 (glyph)”が存在すると考える。
『文字コード標準体系専門委員会報告書 付録3 用語 付3.2 本委員会として定義を試みる用語、及びその定義』情報処理学会 情報規格調査会 2002年3月(PDF)
以上は、日本工業標準調査会:データベース検索-JIS検索にてPDF(文書が画像化されたもの)の検索・閲覧が可能。
以上から共通項として、「字体」の定義に関して重要な語彙が見いだされるのは前回にほぼ等しく、「字体」とは『抽象的な概念/観念』である、ということと、以下の3つのグループへの分類である。
- 骨組み・骨格
- 弁別指標
- 社会共通の基準
また、今回新たなグループとして、
- 点画の組み合わせ
が見出される。
《学問的分野における定義》ー字体の諸定義についてーその2
目次
- 分野別でみた字体の定義
- 各種辞書における定義
- 学術的分野における定義
- 書道における定義
- 政策的分野における定義
- 国語行政における定義
- 工業規格における定義
- 印刷関連分野における定義
- webで見られる定義
- 「字体」という語の歴史的経緯
- 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について
学術的な定義
- 個々人の脳裏にある、字の形を抽象化した骨組みであり、社会的な約束によって成り立っている字画の構成の概念である。これは、今日では基本的には楷書体が元になっていると考えられる。
『現代日本の異体字―漢字環境学序説 (国立国語研究所プロジェクト選書)』笹原宏之+横山詔一+エリク・ロング 著 三省堂 2003/11/10第1刷 「第1章 異体字とはー1.1異体字とは」p.8(笹原宏之)
- その文字(引用者註:「現実に紙や画面の上に印字・表示された文字」のこと)の骨組みに関する抽象的な概念を指す。
『現代日本の異体字―漢字環境学序説 (国立国語研究所プロジェクト選書)』笹原宏之+横山詔一+エリク・ロング 著 三省堂 2003/11/10第1刷 「第3章 異体字の認知科学ー3.1字体認知とカテゴリー化」p.205(横山詔一)
- 字の形の標準的な観念。
『文字・表記探究法 (シリーズ日本語探究法)』小池清治 編 犬飼隆 著 朝倉書店 2002/08 p.35
- 一般的には文字を形態要素的に分類して、個別に他の文字ごとに区別されるべき特徴を有することにより規定される字の弁別指標のことをいう。あくまで抽象的概念下に存在するものである。
『表外漢字字体表を考える一国際戦略としての文化基盤の整備に向けて一』相田満 著 「Science of Humanity』30(勉誠出版)2001/03掲載一部改稿PDF
- 漢字の骨組み。
- 字体とは文字を読むプロセスによって具体的な字形からその文字を識別するために必要な特徴を抽出したものである。字体だけを可視的に示すことはできない。
- 文字を形態要素的に分類して、個別に他の文字ごとに区別されるべき特徴を有することにより規定される字の弁別指標。
- 抽象的概念下に存在するもの。
『定例懇談会 NO.13』 1996/07/15(国文学研究資料館website)
- 筆画の組み合わせから成るそれぞれの文字の骨格の形態である。
『漢字と国語問題 (漢字講座 11)』 佐藤喜代治 編 明治書院 1989 p.32(加藤正信氏)
- 文字の骨格表現である。その文字が文字として認知されるために必要な点や線の配置と構成である。「涙」と「汨」は字体の違いである。
『漢字と国語問題 (漢字講座 11)』 佐藤喜代治 編 明治書院 1989 p.236(田嶋一夫氏)
- 書体内に於て存在する一々の漢字の社会共通の基準。
『図書寮本日本書紀研究篇』石塚晴通 著 汲古書院 1984 p.11
【『キリシタン文献における字体・字形の認識について──落葉集を例として──』白井純 著(PDF)からの孫引き】
- 具体的に筆記具を用いて物の面に書いたり彫ったりした痕跡を字形として区別するならば、音韻と音声との区別における音韻に擬せられるのが字体である。すなわち、字形が現実的・個別的な、その都度多少の差の生ずる現象であるのに対して、字体は、抽象的普遍的で社会的に一定している観念…。
『国語学大辞典』国語学会 東京堂出版 1980
【『手書き文字研究の基礎に関する諸考察』押木秀樹 著(website)からの孫引き】
以上から共通項として、「字体」の定義に関して重要な語彙が見いだされる。
それは、「字体」とは『抽象的な概念/観念』である、ということ。
また、上記に列挙した「字体」の諸定義に関しては、大概以下の3つのグループに分類できる。
- 骨組み・骨格
- 弁別指標
- 社会共通の基準
《各種辞書における定義》ー字体の諸定義についてーその1
これから何回かに分けて、「字体」の定義をみていく予定。
見通しを列記すると、
- 分野別でみた字体の定義
- 各種辞書における定義
- 学術的分野における定義
- 書道における定義
- 政策的分野における定義
- 国語行政における定義
- 工業規格における定義
- 印刷関連分野における定義
- webで見られる定義
- 「字体」という語の歴史的経緯
- 諸外国語(主に英語)における、「字体」に類する語について
…と続けていくつもりだが、途中変更の可能性もあることを予めご了承願いたい。
今回はまず、各種辞書における「字体」の定義をみていく。
各種辞書における定義
- 文字の形。
- 文字の書き方。活字などの書体。
- 文字の形。
- 書体。楷書・行書・草書などの総称。
- 文字の形。▷特に時代によって変化した形体などについていう。
- 古文・籀文・小篆・隷書・楷書・行書・草書などのこと。
- 書道で流派のちがいによる字の書き方。
類:書体。
『漢字源』【編者】藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 学習研究社 1988年11月10日(初版発行)/2007年1月10日(改訂第四版初刷発行)
『漢字源』の引用の最後にある「類:書体。」の「類」は、この辞書では「同義の漢字・熟語」を意味する。
- 字のかきかた。楷・行・草などの稱。 韓愈「字體不レ類隷與科。」
- 字畫の意。
『大字典』【編纂者】上田万年、岡田正之、飯島忠夫、栄田猛猪、飯田伝一 講談社 大正6年(初版発行)/昭和40年9月15日(普及版:第1刷発行)/昭和57年10月10日(第21刷発行)
以上を踏まえると、「字体」「字形」「書体」の関係は
- 「字体」≒「字形」
- 「字体」≒「書体」
であるということになる。
その1:字体・字形について
実は10年来、この「字体・字形・書体」という言葉を再定義することについて調べているが、中々捗らないでいる。それはまだまだ不勉強なところもあり、かつ色々と示唆に富むものに出会ったりして、その都度自分の考えを改めたりしているからなのだが。今は取り敢えず「字体」「字形」についてからアウトラインを書き起こしてみる。
「字体」「字形」は通常別の概念として扱われているが、これを『字型』と1つの新たな概念で纏めてみたらどうか、と現在のところ考えている。『字型』とは、ある字がその字であるための「型」であり、その「型」とはある決まり事であり、かつ範疇である。イメージとしては、ある字がその字であるための何らかの「領域」があり、他の字との境界は曖昧である。空間的であり確率論的である。むしろ量子力学的と言ったら良いか。
元々は、「字体」の定義として、
字体は文字の骨組みであるが,(以下略)
『常用漢字表』昭和56年内閣告示第一号 1981/10/01 「表の見方及び使い方 四」
または
字体については、常用漢字表に示されている「字体は文字の骨組みである」という考え方を踏襲する。文字の骨組みとは、ある文字をある文字たらしめている点画の抽象的な構成の在り方のことで、他の文字との弁別にかかわるものである。 字体は抽象的な概念であるから、これを可視的に示そうとすれば、一定のスタイルを持つ具体的な文字として出現させる必要がある。
『表外漢字字体表』国語審議会 文化庁 2000/12/08 答申 「一.前 文 3 字体・書体・字形にかかわる問題とその基本的な考え方(1)字体・書体・字形について」
があり、この「文字の骨組み」というのが共感できなかった、というのが始まりである。
説明不足なものやご批判を受けそうなものが多々ありますが、現状はご容赦ください。追々説明できる段階になった時点で補足していく予定ですので。